英単語などの暗記を支援するアプリでよく見かける四択形式のテスト。
「効果薄そう。というかなさそう。」
「アプリだから他に手がないから仕方ないのか。」
「でも単語は苦痛だし四択でないとムリ。効果がないと困るな。。。」
筆者を含め、そんな思いや心配をお持ちの方が多いと思います。
ところが!
それを覆す内容が記載された書籍がありました。その内容を簡単に紹介いたします。
書籍では、根拠となった単語学習の実験結果について、詳しく記載しています。そちらも併せて紹介します。
心理学や第二言語習得の分野の研究結果から、以下が言えるとのことです。
*1:英語→日本語、日本語→英語の両方
*2:英単語の意味を書いたり、日本語から英単語のスペルを書いたりする問題
つまり日本語から英単語のスペルを書く力を除けば、選択肢問題は記述問題と同様の効果で、効率では勝る、ということです。
有効性の根拠
- 選択肢問題は、一見すると表面的な知識のみの測定なので、学習には役立たないなどの批判がある。
- 批判例(LearnThatWord(英単語学習ソフト)のFAQでの主張):
-選択肢問題は自動採点するための簡便なテストが目的
-人間の脳は提示されたものを何でも吸収できるので不正解の中から選ぶのは脳を混乱させる - 一方で選択肢問題を利用し、単語学習が促進された事例が複数ある。
- 教育心理学・認知心理学の分野の研究では「選択肢問題の学習効果は、記述問題のそれよりは小さいが効果はある」
- 選択肢問題が外国語の単語学習に与える影響を調べる研究はほとんどないので、実験を行った。
紹介している書籍
英単語学習の科学
中田達也 著
英単語の学習について、様々な方法とその効果を広く解説してある、とても有用な本です。
特に研究論文の内容が、わかりやすく具体的に記載されている所がいいです。
この記事ではかなり端折って紹介しているので、詳しく知りたい方は書籍で確認してみてください。
以下は、選択肢問題の有効性に関する実験についてです。
選択肢問題の有効性に関する実験
実験内容
対象者:英語母語話者(ニュージーランド在住)
学習対象:外国語(スワヒリ語)の単語
ステップ:
- 学習
- 外国語単語とその意味を見る
- 問題を利用した学習 ←※
- 効果測定(学習直後)
- 効果測定(1週間後)
※:以下のどちらかの方式で学習
・選択肢問題(四択)を利用
・記述問題を利用
効果測定方法:
〇学習に要した時間を測定
〇以下の4つのテストそれぞれの正答率を測定
〇2つの学習方式間での違いを分析
- A.記述テスト(母語→外国語のスペルを書く)
- B.記述テスト(外国語→母語の意味を書く)
- C.選択テスト(母語→外国語のスペルを選択)
- D.選択テスト(外国語→母語の意味を選択)
実験結果
〇単語の形と意味の対応については、2つの学習方式はほぼ同等の効果
・テストB~Dで両方式間の差は最大でも2%ポイント
・正答率の例(テストC):
選択肢方式 vs 記述方式
-直後正答率: 92% vs 92%
-1週後正答率:89% vs 90%
〇母語から外国語のスペルを書くことでは記述方式の方が学習効果が高い
・テストAでの両方式間の差は1%~11%ポイント
以下、効率に関する結果です。
〇単語の形と意味の対応については、時間当りの習得単語数は、選択肢方式の方が約3割高い
・(=テストの正答数/学習時間で算定)
・テストB~Dで選択肢方式の方が23%~29%高い
・1分当りの習得単語数の例(テストC):
選択肢方式 vs 記述方式
-直後単語数: 1.6語 vs 1.3語
-1週後単語数:1.5語 vs 1.2語
考察
これと、先の正答率の値から次のことが言えます:
これは結構すごいことで励みになります。
学習する単語数が大きくなると、こうはいかないのでしょうけど。
まとめ
英単語学習は人によっては、退屈・苦痛な作業。
難しい単語をたくさん覚えないといけない時は、だれでも気が遠くなる。
そんな時はやはり、アプリなどで四択形式で学べるとありがたい。
でも気になる効果は?
大丈夫そう!
しかも効率は、記述問題を使うよりもいい!
とにかく単語にふれる時間を確保することが重要なんだと思います。
あと単語を声に出すこともお忘れなく。音声も合わせてゲットでリスニング力も上がります!
英語習得に向けて進んでいきましょう!
おまけ
四択形式での単語学習に飽きたら、以下をのぞいてみて下さい。
特に、数学が好き、experiment, probable, outcome 辺りの単語を「確実に」身につけたい、そんな方は必見です!
おまけ2
以下は念のための注意喚起です。
ご心配な方は以下を参考にしてみてください。