英語の学習において、英文の正確な意味の理解は必須です。でもなぜか教科書には本文の和訳が載っていないことがあります。また解説書が手元にない時や、誰かに質問できる状況にない時もあります。「大体は理解できているから大丈夫かな。でも気になる。なんとかならないかな。」そんな英語学習者の要望に応えるのが、2024年5月13日にOpenAIが公開したGPT-4oです。(oはオムニ(全ての)を表すとのこと)

GPT-4oを利用すれば、紙面上の英文から瞬時に正確な日本語訳を得られます。自然なモデル音声は英語・日本語の両方で聞くことができます。しかも操作は簡単。それにとどまらず、自由に会話練習をしたり、文法の質問をしたり、単語テストをしてもらうこともできます。現在無料提供されているこのサービスは、英語学習に革命をもたらしつつあります。

このページでは、GPT-4oを利用して教科書の英文を日本語に翻訳し、モデル音声を入手する方法を示します。具体的なやり方がわかる動画とスクリーンショットを掲載しています。非常にシンプルです。目を通していただいたら、是非実際に試してみて下さい。
日本語訳も音声も間に合っている方にも、GPT-4oの利用を強くおすすめします。なぜか。実はGPT-4oの英語学習支援の凄さは、「その先」にあるからです。それらについてもページの後半で触れています。

参考: GPT-4oの紹介 (OpenAIのサイト)

GPT-4oの翻訳の精度

中学英語を題材に、AI翻訳が英語学習で使えるかを検証した、以下の記事を参考にしてください。GPT-4oの前から存在するGPT-4やGPT-3.5、更にはGoogle翻訳やDeepLを使って検証しています。

「中学高校生・英語学習者必見!AI翻訳の和訳は勉強に使えるのか」

GPT-4o で日本語訳やモデル音声を得る方法

※ChatGPTアプリのダウンロード・アカウント登録(無料)が必要です。
※参考)ChatGPTのPC用の入り口はこちら

(1) 動画で解説

わずか1分半の以下の動画をご覧ください。

GPT-4o への画像テキスト入力と日本語訳・モデル音声の出力

(2)スクリーンショットなどで解説

① 教科書の英文ページの写真を撮影する。

このように写真に影があったり、端がゆがんでいても大丈夫です。
※もっと読み取りにくい写真(ページ下部に掲載)でさえOKでした。

教科書など紙面上の英文の写真
教科書など紙面上の英文の写真

② ChatGPTアプリを起動する

③ 写真をアップロードし、翻訳を依頼する

(1)「写真アイコン」をタップ→写真を選択→「追加」をタップ

写真をアップロードしているスクリーンショット
英文の画像のアップロード


(2)写真横のテキスト欄に依頼を入力→「↑」(送信)をタップ
依頼文の例:「英文の後に日本語訳を書いてください。一文ずつ。翻訳は細部を省略しないでお願いします。」

送信ボタンを押すスクリーンショット
送信ボタンのタップ

→GPT-4oが提供する英文と日本語訳を確認する

GPT-4oによる英文と日本語翻訳の出力のスクリーンショット
GPT-4oによる英文と日本語翻訳の出力

④ 読み上げを依頼する

(1)「音声アイコン」をタップ
→音声チャットのモードになります。

音声チャットモードのボタンを押すスクリーンショット
音声アイコンのタップ


(2)読み上げを口頭で依頼
依頼音声の例:「先ほどの英語と日本語を読み上げてください。」

GPT-4oへの口頭での依頼のスクリーンショット
GPT-4oへの口頭での依頼

→GPT-4oの読み上げを聞く

GPT-4oのさらなる英語学習支援

GPT-4oの利用は、教科書の翻訳と音声化だけに留まりません。

活用の例と品質

このAIを活用すれば、教科書英文の題材などを基に、

  • 自由に会話練習をすることはもちろん、
  • 文法などの質問をする、
  • 理解度確認の問題を出してもらう、
  • 教科書記載のペア練習などを一緒に行う、
  • 単語クイズを出してもらう、などなど

ありとあらゆることができます。

しかもバイリンガルの先生を相手にしているのと同様に、細かな指示・設定や、込み入った質問や解説・フィードバックは日本語でやり取りができます。本物のバイリンガルの先生のプライベート・レッスン、個別指導を受けているのに近いのです。

「近い」と書いたのは、不完全な面も多々あるからです。特にレッスン内容の提案や、誤り・改善点の指摘とフォローアップ練習(特に発音関連)などは、現時点ではまだまだな感じです。またなんとなくバグった感じになることもありました。ただ安心できるのは、そうした状態は私たち学習者側が感知できることです。

更なる安心材料かつ重要なポイントは、GPT-4oが文法的に誤った文を作ったり、不自然な表現をすることはまずない点です。(「Aという人物について教えて」などの事実確認では、AIは誤った情報を伝えてくるケースもそれなりにあるようですが)正確には筆者が一年間ほどChatGPTを活用してきた中で、確認できた誤り・不自然な表現はゼロ件でした。

メッセージ数などの制限

残念ながら現時点では、やりとりできるメッセージ数に制限があります。無料版は3時間ごとに最大10メッセージの模様です。筆者が試した時の制限も同数でした。

また写真のアップロード数にも制約があるようで、筆者が試した時は最大2枚でした。(複数の写真を1メッセージで送信しても、写真の枚数で制限がかかります。)もちろん時間が経てばクリアされます。

なお有料版(Plusユーザ)は無料版の5倍の容量です。(OpenAIのWebページより)

活用のすすめ

制限をうまくかいくぐりながら(例えば朝、帰宅直後、就寝前に利用する)、是非とも最大限に活用してみましょう。依頼の仕方(プロンプト)次第で活用の領域は大きく広がっていきます。
そして何より、今後も驚くほどの速さで進化していくと思います。今からAIに馴染み、自分に合った活用の仕方を見つけながら、その最前線の成果を自身の英語学習に活かしていきましょう。

GPT-4oの凄さ(筆者の感想など)

GPT-4oは、画像・文字の読取り、翻訳の精度、音声の自然さという品質の面と、使用量に制約はあるものの無料提供(5月16日現在)というコストの面の両面から、驚愕のサービスになっています。

実は筆者はGPT-4で、翻訳の精度などの一部の品質について十分に学習に使えることを確認していました。しかしながら有料(月額$20)であったことや、OCRアプリ製品全般の精度(ページごとに何箇所かは読取り誤りがある)から判断し、広く紹介するのになじまないと思っていました。そのためChatGPTの英文の読取り精度や英語・日本語の音声について、深く確認していませんでした。

今回のOpenAIの発表を受けてそれらを確認した所、あまりの精度の高さに、驚きを通り越して呆然とした次第です。感情豊かで人間と区別できないほど自然な音声の凄さは、聞いていただければ一目瞭然(一聴瞭然?)ですが、読取り精度も本当に凄いです。他の有力なOCRアプリケーションと比べると実感できますが、この記事の趣旨と離れるので詳細は割愛しています。

読取り精度の高さを示す例として、以下の写真を掲載しておきます。これでも読取り誤りは、ゼロ件でした。本文の抽出はもちろん、右側の練習問題へもGPT-4oは難なく対応していました。いいのでしょうか。

教科書など紙面上(A3サイズ)の英文の写真
教科書など紙面上(A3サイズ)の英文の写真

まとめ

GPT-4oの英語学習への活用の一例として、教科書などの紙面上の英文の翻訳、読み上げの方法について見てきました。是非とも自身で体験してみてください!
またGPT-4oでは、会話練習をしたり、文法的な質問・解説を日本語でやりとりするなど、バイリンガル先生とのプライベート・レッスンの一部を簡単に実現できます。英語学習全体をサポートする多機能ツールです。
このAI技術の進化に期待しながら、ぜひともその可能性を最大限に活用していきましょう。新しい学習の形がここにあります。